むし歯

予防のアイキャッチ

子どもの虫歯の予防方法

はじめに

子どもの健康には、歯の健康も欠かせません。しかし、子どもの虫歯は大人の歯に比べて進行が早く、虫歯になってしまうと治療が大変なこともあり、また将来の歯並びやお口の中の環境(虫歯のなりやすさ)に影響が出ます。そのため、虫歯を予防することは非常に重要です。今回は、子どもの虫歯の予防方法について、詳しくご説明いたします。

虫歯の原因とは?

虫歯は、口腔内に存在する虫歯菌が、飲食物の糖分をエネルギー源として利用し、酸を産生します。この酸によって歯の表面が溶け、虫歯が発生します。
『虫歯ができる要件』は

  1. 歯が存在すること
  2. 虫歯菌
  3. 糖分
  4. 酸にさらされている時間

です。これらに対して対策することで虫歯予防ができます。

食生活の改善

食生活の改善は、虫歯予防の重要な要素です。『虫歯ができる要件』3.と4.に該当します。
実は歯磨きより大切と言っても過言ではありません。以下に、子どもの食生活を健康的にするためのポイントをご紹介します。

糖分の摂取を控える

特にお菓子やジュースは虫歯の原因となる糖分が多く含まれます。お菓子の中でも歯に固着しやすかったり残りやすい物は虫歯のリスクが非常に大きくなります。またジュースは炭酸ジュースは非常にリスクが高いです。その他に一見健康そうな100%果汁ジュースや子ども向けに販売されているジュースもリスクは十分にあり、さらにイオン系飲料やお腹に優しい乳酸菌飲料もリスクがあり、健康のためと毎日子どもに与えているご家庭も少なくありません。子どもの水分摂取は基本的にお茶やお水が成長発育にとっては一番です。乳酸菌飲料はお腹の調子が悪い時に、イオン系飲料は発熱時や汗を多くかいた運動後のみにするなどにすると良いでしょう。

ただし、糖分の摂取を控えるといっても子どもは大人のように1日3回の食事では十分に栄養を摂取できないためおやつで栄養を補給することは大切です。またおやつに関して厳しくし過ぎて友達に比べご自身の子どもだけ我慢ばかりするのは心の成長に影響がでかねません。
おやつはだらだら喰いはせず15〜30分で切り上げ、ジュースは週に1回程度の楽しみにする、飲んだとしても短時間で飲み切る、おやつ・ジュースの後はお水で口をすすいだりお茶やお水を飲んでお口の中を流す、このようなひと工夫で虫歯のリスクを下げられます。

食事はよく噛むものを

よく噛むことによって唾液の分泌が促進されます。唾液が出ることで自然と口の中が綺麗になる自浄作用が働くうえに唾液には歯を修復する機能もあります。またよく噛むことは綺麗な歯並びにかかせない顎の成長にも繋がります。

子どもによく噛むことを意識させるのも大事ですが、食事にほんのひと手間かけることで自然と噛む回数が増えます。例えば、普段の料理の食材にナッツ類や干しぶどう、いりこ等の小魚を混ぜたり添えるだけで同じ料理でも自然と噛む回数が増えます。

また根菜類の煮物なんかも良く噛まないと飲み込めませんので良いです。元々和食には良く噛む料理が多いです。洋食にはもちろん美味しくて魅力的な物も多いですが、和食の割合を多くしたり洋食メニューだとしても良く噛む工夫のメニューを添えると良いでしょう。

食後のケア

食事の後は、歯磨きを心がけましょう。歯磨きが難しい状況でもお水で口をすすいだりお茶やお水を飲んで歯についた糖分や食べかすを取り除きましょう。また、食後に歯磨きができない場合は、キシリトール入りのガムやキャンディーを噛むことで、唾液の分泌を促し、口内を清潔に保ちましょう。

キシリトールに関して、パッケージには「キシリトール配合」と書かれていても成分表欄の甘味料の所には「ショ糖」が含まれている場合があります。「ショ糖」は虫歯菌の餌になりますので甘味料がキシリトール100%かどうかをよく確認しましょう。

歯磨きの徹底

『虫歯ができる要件』2.に該当します。歯磨きによって虫歯菌の数を減らし虫歯予防には欠かせません。子どもにとって歯磨きは面倒な作業かもしれませんが、以下のポイントを意識することで、楽しく取り組むことができます。

歯磨き方法

難しいことは考えず、歯の見えている所を全部磨きましょう。主に3つに分けて①物を噛む面②唇ほっぺたの面③内側(ベロ側)です。特に奥歯は①を、前歯は②・③をよく磨きましょう。
これらを意識しても磨く本人の癖、仕上げ磨きをする保護者の方の癖で磨き残しは人それぞれですので細かい注意点は歯医者さんで教えてもらいましょう。

歯磨きの楽しさを追求する

子どもにとっては歯磨きの時間は苦痛に感じることが多いです。特に乳幼児の間は毎回嫌がって泣くことも少なくはありません。少しでも子どもにとって歯磨きの時間が遊びの延長のような雰囲気を感じられるように各家庭の正解を模索しましょう。(我が家では親は片手で手遊びをしながら磨いたり、口の中にバイキンマンがいるので小さいアンパンマンを放り込むという設定で遊びながらやってました。親の威厳なんかは捨てて子どもがなんとか笑うよう変顔したり笑)

また、最近ではスマホのアプリで子どもが自分で楽しく磨けるものもあります。子どもの歯磨きの導入には非常に良いツールだと思います。ただ、子ども本人の歯磨きだけでは絶対に十分には磨けていません。アプリを使用するなら仕上げ磨きもするという約束で使用ましょう。そうしないと仕上げ磨きはやらなくて良いというのが癖がついてしまいます。

ゴールを設定する

子どもは歯磨きの時間がいつまで続くが分からないので苦痛に感じます。10数えたら終わり(でも実際はゆ〜っくり10数える)などしてゴールを示してあげると歯磨きの時間を乗り越えてくれることも多いです。

歯磨きの時間を確保する

毎日の歯磨きは欠かさず行うことが重要です。朝晩の歯磨きは特に重要ですので、時間をきちんと確保しましょう。また、最低でも1日1回は仕上げ磨きで丁寧に隅々まで磨く時間を確保しましょう。

歯ブラシをこまめに新調する

乳歯に付いた汚れは非常に強固な事も多く、歯ブラシの毛のコシが少しでもヘタってくると毛先を歯に当てていても汚れが落ちません。せっかく親子共々に大変な歯磨きに時間を費やしているのにそのままでは実はもったい無いです。歯ブラシは安価な物で結構ですので1ヶ月も使わずに3週間程度でこまめに新調することをおすすめします。

デンタルフロス(糸ようじ)を使う

子どもの虫歯の発生部位は歯と歯の間が一番リスクが高いです。フロスを通すことで虫歯の発生を大きく抑えることが出来ます。1日1回は歯と歯の間にフロスを通しましょう。

フッ素の活用

『虫歯ができる要件』の1.に該当します。

フッ素は虫歯予防に非常に効果的な成分です。フッ素入りの歯磨き粉やフッ素洗口液を使うことで、歯のエナメル質を強化し、虫歯菌に対して自身の歯の防御力を上げ虫歯の発生を抑えることができます。しかし、フッ素の摂取量には注意が必要です。適切な摂取量を守るためには、歯科医師の指導を仰ぐことをおすすめします。

歯科検診の重要性

定期的な歯科検診は虫歯予防において欠かせません。歯科医師や歯科衛生士が子どもの歯の状態をチェックし、虫歯の早期発見や治療を行うことができます。定期的な歯科検診のメリットは以下の通りです。

早期発見と治療

歯科医師による定期的な検診により、虫歯の早期発見が可能となります。早期に虫歯を発見し、適切な治療を行うことで、進行を防ぎ、被害を最小限に抑えることができます。

正しいケアの指導

歯科医師や歯科衛生士から、正しい歯磨き方法や口腔ケアのアドバイスを受けることができます。子どもに合った適切な歯磨き方法や、予防策を学ぶことで、虫歯予防に役立てることができます。

歯の発育の確認

子どもの歯や顎の発育状況や噛み合わせのチェックも歯科検診で行われます。正しい噛み合わせが形成されることで、歯の健康を保つことができます。

歯科医院に慣れる

子どもにとって治療で通う歯科医院は楽しい所ではありません。定期検診では基本的に痛いことはされません。定期検診で通っておくことによって子どもにとって『よく知った歯医者さん』の場所になることが非常に大切です。もし虫歯等で治療する事になったとしても、『初めて行く歯医者さん』と『よく知った歯医者さん』では子どもの精神的ストレスは大きく変わり治療も上手にできるようになります。

定期的な歯科検診のスケジュールは、歯科医師と相談しながら決めることが重要です。一般的には、3か月から半年に一度の頻度での検診が推奨されています。

特に子どもの虫歯は進行が早いため、1年も経つと大きく状況が変化している可能性もあります。

まとめ

子どもの虫歯を予防するためには、食生活の改善、歯磨きの徹底、フッ素の活用、そして定期的な歯科検診が重要です。親子で協力し、楽しく歯磨きを行い、健康的な食習慣を身につけることが大切です。虫歯は予防できる病気ですので、早めの予防策の実践をおすすめします。

定期的な歯科検診を受けることで、専門家のアドバイスを受けながら、子どもの健やかな歯の成長をサポートしましょう。

関連コラム